TOKONAME FUR HOUSE
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日本にヴィンテージ ファーが多く残っている理由

日本に状態の良いヴィンテージ ファーが残り続けてきた背景を、気候・毛皮業者文化・コンディション基準の3点から短くまとめました。

日本のヴィンテージ ファーは流行ではなく、20世紀後半に日本がどのようにファーを輸入し、販売し、保管し、再流通させてきたかの結果です。海外でヴィンテージのミンクやフォックスを状態良く探している方からすると、日本は知名度の割に良質な在庫が出てくる市場です。

中盤期から続く輸入の歴史

1960年代から1980年代にかけて、日本の百貨店や毛皮専門店はしっかりした販売層を築いていました。銀座、名古屋、大阪、地方都市のいずれにも名のある毛皮店があり、ミンクやフォックスのコートに自社ラベルを縫い付けて販売していました。多くは仮縫い対応・本格的な裏地仕立てで、季節物ではなく長く着る服として売られていました。

その世代のお客様の手から、コートが受け継がれたり、二次流通へと放出されたりしているのが現在です。だからこそ、キュレーション系の店舗に並ぶ日本のヴィンテージ ファーは、ファストファッション的なものではなく、作りのしっかりした、ラベルの明確なコートに偏ります。

気候と保管文化

日本の湿度の高い夏は、本来ファーには厳しい条件です。ところが実際には、桐の収納、除湿環境、百貨店やクリーニング店による夏季ファー預かりサービスといった保管文化がそれを補ってきました。30年その仕組みの中にあったコートは、革も生きていて、毛も死んでいないことが多いのです。

海外の乾燥した、温度差の大きい環境で保管されたファーは、毛より先に革が割れてくることが珍しくありません。日本のヴィンテージはその逆の順番で劣化することが多く、価格の付け方にも影響します。

二次流通でのコンディション基準

日本のヴィンテージ流通は、全体的にコンディション表記が細かいのが特徴です。傷みを隠すよりも書き出す方向で、裏地の修理、ホックの交換、匂いの履歴などもお客様に伝えるのが通例です。コスチューム的なヴィンテージというより、時計やバッグの中古流通に近い文化で、ここが海外バイヤーから見て日本のヴィンテージ ファーが信頼されやすい理由のひとつです。

TOKONAME FUR HOUSE の立ち位置

TOKONAME FUR HOUSE は、愛知県常滑市の小さなキュレーション系ヴィンテージ ショップです。ファーを軸に、時計、バーバリーのトレンチコート、アクセサリーを扱っています。上に書いた日本市場の上に立っており、輸入の歴史、保管文化、コンディション表記の感覚はそのままに、店として扱う価値があると判断したものに絞っています。

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